コトノハ。
原作:桜野みねね先生 文:夢影月


      月に祈れば

            愛は

               届くと――――――――――――・・・


      大きなメタセコイヤの木。二人の男女。

     ふたりはそこで誓った。永遠の愛を―――――――・・・


     八月某日   杜の都 仙台―――――――


   「きゃーっ!!さっすが仙台ねぇ〜。空気が綺麗〜〜♪」

   「そうだなぁ。杜の都だけあって・・・って感じ。」

   「はっはっはー!!光合成される量がすごいからなっっ!!」


    新幹線を降り、さゆり、太郎助、那奈の七梨家一行は、はしゃぎまくっていた。

   丁度この季節、七夕祭りがあるので仙台の街は活気に溢れている。

    夏休みと云う事で、本当は太助やシャオも連れてくる予定だったのだが、

   あいにく映画鑑賞会とやらをクラスメイトの煩いのが開くと云うことでキャンセル

   された。約一名最後まで騒いでたんだけどな・・・。

   「いやーんっっ!!ルーアンも行くぅぅぅ><。

    牛タ―――――ンっっ!!笹かま―――っっ!!行く――――――っっ!!!!」

    キリュウがアイスを大きくしている隙に逃げるように出かけてきたのは

   云うまでもないだろう・・・。


        まあいい。とにかくあたし達は仙台旅行を満喫することにした。

   この時期は東北と云えど暑い。アーケードいっぱいに下がっている七夕飾りを

   見に来た人でごった返している所為で余計暑い・・・。


   「きゃーっ!!那奈ちゃん見てみてぇぇ〜〜〜w」

   「何だよ母さん・・・。」

   「太助と同じ名前の牛タン屋さんがあるぅ〜っ♪」

   「へぇー。そりゃすごい偶然だなぁ。じゃあ今日の夜あたりにでも行ってみる?」

   「そうねぇ〜♪それがいいわねっ。ねっ、太郎助さ・・・あら・・・?」

   「・・・・・・・親父は・・・?」


    いい年こいてはぐれた・・・?一応ぐるっとあたりを見回したんだけど、

   親父の姿はなかった。これだけ人がいると、探すのは至難の業だぞ〜っ・・・。

   と、云うわけで。あたし達の仙台めぐりは親父探しに変わってしまった・・・。


   ドンッ・・・


      「あっ・・・すいません・・・。くっそ・・・すごい人だな・・・。」


    さっきから何度謝ったんだろう・・・。ごたごたした街中。

   早く出たかったんだけど、へたに人の波にもっていかれると母さんともはぐれかねない。

   しっかりと手を握って、人ごみを進んだ。


   「太郎助さん・・・どこ行っちゃったのかしら・・・。」


    歩いていると千羽鶴や短冊のついた飾りが目につく。とても綺麗だ。

   店や団体ごとに出しているらしく、数が半端じゃなく多い。

   さすがに四越や桐崎とかの大手デパートになると豪華さは比べ物にならない。

   デカイうえに手がこんでる・・・。

    そんな飾りをバックに可愛い我が子を写真におさめようと親は必死だ。


      「あかりっ!!ほら、こっちむいて・・・あかり!!」


    頑張れ娘・・・。こんな沢山の人の中から父さんを見つけるなんてできるのかね・・・。


       「母さん!!ちょっ・・・電話!!」

   「んー?電話が何?」

   「父さんに電話!!」


    人ごみの中に、わずかだけど切れ目が見えた。

   今だ―――――――――――――!!!


   「母さん、こっち!!」

   「きゃっ・・・。」


        あたしは母さんの手をぐいっとひっぱると、その切れ目に向かって

   ひたすら人を押しのけて進んだ。謝ってる暇はない。あたしは此処から出たいんだ!!


     「・・・・・っふぅ・・・。やっと出れたぁぁぁ〜〜〜・・・。」

   「こんなに人がいたらゆっくり観光できないわねぇ。」

   「・・・・・・・・・はい?・・・待て・・・いや、待て待て待て母さん!!」

   「へ?なぁに?」

   「いや・・・父さん探してたんじゃ・・・。」


    えへへ〜♪と笑う母さんを見て軽く脱力・・・。駄目だこの人・・・。

   何も云う気になれず・・・って云うか、何か云っても多分聞いてくれない・・・。

   とにかく、あたしは「父さん探すんだからね!!」と強く宣言して母さんを連れて歩くことにした。

    あたし達が出たところは運良く街のアーケードのはずれの方だったから、そのまま並木の続く道に出た。


   「母さん、父さんに電話して。」

   「・・・・・どうやって?」

   「・・・・・・・・・・・まさか・・・携帯・・・持って・・・・・・・」

   「ないわよぉ〜♪」


    はぁ〜〜〜〜・・・。ホントもう駄目かも・・・。絶望的だ・・・。

   そう云うあたしも、携帯なんて持ってない。最近殆ど日本にはいないし。

   あ、でも最近の新しいやつは海外でも使えるらしいね。文明の進歩だ。

   そんな事はどうでも良い。あたしはどうやって父さんを探そう・・・と必死に悩んでいた。


   「・・・あ・・・・。」


    突然、母さんが口を開いた。


   「どうした、母さん?父さんいた!?」

   「ん・・・ううん・・・違うんだけどね・・・。」

   「じゃぁ・・・どうした・・・?」


    母さんは何も云わずにバスに乗り込んだ。多分、バス代くらいならある・・・筈・・・・・。

   そして、少し躊躇いながら昔のことを話してくれた。


   ――――――――――――――――――――さゆり 18歳の冬

    学校の校庭。雪の積もった庭は、まさに一面銀世界。

   ふたりは、その端の大きな木の下で見つめ合っていた。


   「太郎助さん・・・。」


      女の方が口を開いた。男は顔を真っ赤にしながら女にこう云った。


   「ん゙っ・・・ん゙ん゙っっ・・・。

    え・・・えーと・・・。さ・・・さゆり・・・さんっ・・・。」

   「はい・・・?」

   「俺と・・・俺と・・・・・・結婚・・・・・して下さい・・・・・・。」

   「・・・・・はい・・・。」


    その続きは云わなくてもわかるだろぉぉぉ!?!?(姉弟

   男の申し出に、恥ずかしそうに頷く女。そして・・・ふたりはひしっっと・・・。

   ひしっっと抱きしめあい・・・・・・・


    そしてぇぇぇぇ――――っっ!!!!!!

   云わせるな!!云わせるな友よ!!素晴らしい愛じゃん!!

   ん〜、DELICIOUS!!(正しくはBEAUTIFUL。。。


   「・・・那奈ちゃん・・・・・?」

   「えっ!?へっ!?」


    名前を呼ばれて我に返ると、「あぁーシャオ」の時と同じように手を頭上に掲げて

   自分の世界に浸っていた・・・。バスの乗客全員がこちらを見ている・・・。

   あー・・・恥ずかし・・・。


   「大丈夫・・・?」

   「んっ?全然余裕!!あははー・・・」

   「そう・・・。と云うわけでね、太郎助さんがプロポーズしてくれたのが、

    此処仙台なの。

    太郎助さんが居るとしたら・・・。あの木・・・。

    あっ、でも・・・覚えてたらの話だけど・・・。」


    母さんの顔が、少し翳った。

   そこに、父さんの姿がなければ、あたし達に希望はない。

   それこそ、警察に届出なきゃいけない。

   今は・・・今はただ信じて―――――――――――・・・


    大きな病院を過ぎると、一気に「街」と云う雰囲気がなくなる。

   部活帰りの中学生がバスと反対に歩いてくる。

    バスを降りて、少し道を奥に進むとそこに小学校があった。

   そして、校庭の隅の方にはとても大きな木があった。

   見上げてもてっぺんが見えなさそうなほど大きい・・・。

   あれが母さんの話してた木か・・・。


        その木の下に、男が一人、立っていた。

   懐かしそうに木に触れたりしては、笑みをこぼしていた。


   「父さん!!」


    ふと顔をあげ、こっちを見る。

    そして、あたしと母さんを確認すると、今まで見たこともない程力強く、

   優しかった。


    あたりはもう暗くなりはじめていた。

   風は涼しく、街灯がともる。蝉もその活動をやめ、静かな刻を作っていた。


   「・・・覚えていたのね・・・。この木のこと・・・。」

   「ああ・・・。二人、愛を誓った木だ。忘れるわけないだろう。

    それに・・・此処に来ればさゆり、君に逢えると信じてたんだ・・・。」

   「太郎助さん・・・。」


    幸せそうな二人を、メタセコイヤの木が優しく包んでいた・・・。


                                     終わり


アトガキ。


  はい、今晩和〜。紅の夢影月です。

   さゆりと太郎助の話なんですが・・・。うーん・・・。

   どうなんでしょうね・・・。


   えっと。舞台は夏の仙台です。みねね先生の出身が仙台なので。

  えーと。多分全部実在します。僕の記憶が正しければ(ハ


      えぇぇぇと(何)。前、赤丸さん(レッドさん)に云われたので

  結構無理ありますがギャグ的要素を入れたような・・・。

  やっぱり苦手です^^;


      話は電車の中で考えたやつ(2時間くらい)をノートに書いて、

  それを修正しつつPCにうつした・・・みたいな感じですかね。

  ちょっと長くなったんですけど。。。そのへんどうなることやら。。。


      今回は僕ひとりだったので文章長くしたり、比喩的表現を取り入れたりと

  結構好き勝手やってみました笑

  皆さんに楽しんでいただけると嬉しいです。


   この話は、僕が親友に送った小説をモトにしています。

  因みに、その場面は冬の仙台。光のページェントです。

  一時間毎にウインクあるの知ってますか?それを最後の舞台にしてました。

  感動系を目指したので、それがちゃんと伝わるかとても心配なところです・・・。


   最後に。

  仙台のこと電話で事細かに説明してくれた沙葉流。

  イロイロ手伝ってくれたサークルの皆。

  心配かけた部活、学校の皆。

  差し入れくれた先輩方に心をこめて。

  Thank you★                  紅★夢影月





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