大切な事
原作:桜野みねね先生 文:雄志


普段どおりの一日。

何も狂うことのない一日。

「シャオー!!買い物行こう〜」

太助がいつものようにシャオを買い物に誘った。

「はーい!今行きまーす。」

シャオの元気な声が聞こえた。

「あら?たー様、私を置いてお出かけになるの〜?行っちゃだめぇ、たー様」

ルーアンがいつものようにベタベタしながらいった。

「家にいてもいいけど、夜ご飯ないぞ?」

太助はもうルーアンの「行っちゃだめぇ」作戦には引っかからなかった。

「あら、じゃあいいわ。ルーアンのために買ってきてねぇ」

「あぁ、わかったよ」

太助はしぶしぶ言った。

「太助様〜行きましょう。準備できましたわ。」

シャオの元気な声と階段を下りる音がついてくる。

「OK〜シャオ、じゃあ玄関いってて俺、財布取りに行くから。」

「はーい!」

太助が財布を持って出かける準備をした。

そのときだった。

――――ピーンポーン――――

「おーい七梨いるか〜!?」

悪魔の声。

そう、翔子だ。

「悪いな〜山野辺、今から出かけるんだ。」

太助は笑いながら「してやったり。」といった顔で翔子に言い返した。

「そうか〜・・・じゃあ待ってるからいって来い。帰ってきたら話すから。」

いつもよりつっかからない翔子に疑問をもったが、落ち着いていてくれるのならそれでよかった。

「そうか・・・わるいな〜じゃあ、後でな〜」

――――ガチャ――――

『それじゃあ、いってきまーす。』

二人は家を後にした。

「翔子さん何のようだったんでしょうね?」

シャオは首をかしげながら太助に聞いた。

「う〜ん、わからないけどアイツが落ち着いていてくれるなら俺はいいよ」

太助がしみじみとした顔で言った。

「それより、今日の夜ご飯は何にするんだ?」

「今日は・・・何にしましょうか?太助様は何がいいですか?」

「う〜ん天ぷらにでもしようか?」

「てんぷら?ですか?どんな食べ物ですかそれは?」

シャオは不思議がって太助に聞く。

太助がシャオに天ぷらを教えているうちにスーパーに着いた。

「じゃあ、シャオさっき言ったとおりに作るんだけど、・・・材料は何にしようかなぁ・・・とりあえず海老と・・・」

太助が天ぷらの材料を買っている間にシャオはエジソンの本を持っていた。

「太助様〜このえじそんって人は誰ですか〜?」

シャオがエジソンの本を持ってきて太助に聞いた。

「ん?エジソン?この人はね・・・電気を開発したりとか・・・いろんなものを開発した人だよ。

この人がいなかったらもしかしたら、今頃何が普及していたかわかんねぇな〜」

太助はエジソンについて軽く話した。

「じゃあ、えじそんさんはみんなに必要とされていた人なんですね。」

シャオが真面目な顔で聞いた。

「・・・あぁ、そうだろうな・・・」

太助はシャオの真面目な顔を見て不思議そうな顔でシャオに返した。

「そうなんですかぁ・・・エジソンさんはとっても偉い人なんですね。人の役に立てて。」

「シャオだって俺の役に立ってるじゃないか。」

太助が元気のないシャオに言葉をかけた。

「ありがとうございます・・・・・・」

シャオはなぜか元気がない。

「どうしたんだ?シャオ、元気がないみたいだけど。」

「いえ、・・・大丈夫です。ありがとうございます。」

やはりシャオは元気がない。

「・・・シャオ!天ぷらつくるんだろ?早く買って家に戻ろうぜ!山野辺も待ってるみたいだからさ。」

太助は元気な声でシャオに声をかけた。

「はい!わかりました!」

シャオは精一杯の作り笑顔と元気な声で太助に返した。

〜〜〜店を出て15分〜〜〜

――――ガチャ――――

『ただいま。』

元気のない二人の声に翔子が急いでやってくる。

「どうしたんだよ〜シャオ、七梨!」

翔子が野暮だが一応聞いた。

理由はひとつあった。

シャオとエジソンの話をした後からろくに話もしてないからだ。

シャオも話しかけられずに帰ってきたのだ。

翔子は太助に耳打ちをした。

「せっかく気を利かして二人っきりにしたのになんでしゃべらなかったんだよ〜」

翔子にはすべてお見通しだった。

「そんなこといったってさ・・・シャオの元気がなかったんだ。それで俺どうしようか迷っててさ・・・」

太助の小さい声に翔子が呆れた顔で太助に放った。

「はぁ・・・お前、男だろ?もっと勇気出してシャオに近づけよ。お前が積極的に行かなきゃだめだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

太助はそれから終始無言だった。

「まぁ、いいや・・・仲良くやれよ。」

そう言い残し翔子は帰っていった。

シャオはいつもどおり夕飯の用意をしていた。

暗い雰囲気が七梨家を包む。

そこにシャオのいつもより暗い声。

「みなさーん、お夕飯できましたよ〜」

その声でルーアンは走って向かったが、ほかのみんなはとぼとぼ歩いていく。

『いただきまーす。』

やはり掛け声も暗い。

ルーアンが気を利かせ言う。

「ちょっと〜みんなどうしたのよぉ〜こんなにおいしい夕飯なのに〜!」

しかしそんな声に誰も気づかない。

「・・・・・・ごちそうさま」

太助が椅子をガタっと引いたかとおもえばそのまま上へ向かった。

「・・・主殿はどうしたのだろうな?」

キリュウが心配そうな顔で言った。

「わかりません・・・もしかしたら私が・・・!」

そう言うとシャオは太助の部屋に向かった。

――――ガララ――――

ドアを開ける音と共にシャオが入ってきた。

「太助様!!ごめんなさい!」

わけもわからない太助は混乱するしかなかった。

「ん?どうした、シャオ。」

「・・・あ、あの・・・太助様が元気がないのって私のせいなんじゃないかなって」

そういうとシャオはうつむいて太助と逆方向を向いた。

「なんでだよ?元気がないってわけじゃないんだけどさ、今日買い物に行ったときにシャオが元気なかったからさ・・・」

「やっぱり私のせいなんですね・・・」

そういうとまたうつむいてしまった。

「いいんだよ、シャオは。シャオが元気じゃないと心配するんだよ。だからシャオが元気なときは俺も元気だろ?」

太助は精一杯の本当の笑顔でシャオに言った。

「あ、ありがとうございます・・・・・・!」

そういうとシャオは元気に階段を下りていった。

キリュウが笑ってるシャオに

「様子はどうだった?何が原因だったのだ?」

と不思議そうな顔で話した。

シャオは今日あったことすべてをキリュウとルーアンと飛に話した。

「ふ〜ん、じゃあ、たー様は元気のないあんたをみて心配になったってわけね。」

ルーアンは食後のせんべいを口にほおばりながらいった。

「はい!そうなりますね。」

シャオはルーアンに笑いながら返した。

〜〜〜その日の夜〜〜〜

飛がシャオの部屋に入ってきた。

「シャオ、言いたいことがあるなら言えばいいんじゃない?エジソンみたいに人に喜ばれることがしたい。って」

飛がシャオに笑いながら言いかけた。

「え?飛ちゃん、どうしたの?なんでエジソンさんを知ってるの?」

シャオが不思議な顔で飛に聞いた。

「シャオの心がそう言ってるんだよ。」

そういって笑いながら飛は部屋を出て行った。

〜〜それから10分後〜〜

「よし!太助様に言おう!」

そういうとシャオは太助の部屋に向かった。

――――コンコンコン――――

太助の部屋のドアに乾いた木をノックした音が響いた。

「はい。だれ?」

太助はドア越しのシャオに言った。

「シャオです。入っても大丈夫ですか?」

ドアの前にいるシャオに気づいた太助は「いいよ。おいで。」といった。

――――ガララ――――

その音ともにドアが開きシャオが現れた。

「太助様。話したいことがあるんです。」

とシャオは顔を赤らめていった。

「・・・ん?何?いってみな。」

太助はシャオが何を言うのか不思議でたまらなかった。

「あ、あの・・・私・・・この前おばあちゃんの所で働いていた時におもったんです。

人に必要とされるってうれしい。って、だから・・・私・・・」

そこまで言って言葉が出なくなったシャオに太助が言った。

「そうか・・・シャオは誰かに必要とされたいんだな・・・でもなシャオ、

お前がいるだけで十分幸せな人はいっぱいいるんだぞ。例えば俺だったり、たかしだったり。

シャオを必要としている人はいっぱいいるんだ。だけどな、シャオがおもってることは大切な事だぞ。

それは俺たちのためにもならないかもしれないけど、悪いことじゃないんだ。人を傷つけるわけじゃないだろ?

シャオがいて悲しむ人間なんていないんだからさ。

そりゃエジソンの時代はまだまだできてない物がいっぱいあったから成功しただけで有名になったんだよ。

シャオだって俺たちの間じゃ有名だろ?それと一緒だよ。」

そういうと太助はシャオの頭をなでた。

「・・・ありがとうございます。私・・・エジソンさんみたいにはなれないかもしれません。

けど、ほかの人たちに必要とされる存在になりたいです。」

泣きながらも笑顔で言ったシャオに太助が言った。

「がんばりな、後はシャオの努力次第さ。どんな未来を開くのも俺やシャオの勇気と努力でなんとかなるだろ?」

「努力・・・」

そういうとまたシャオは泣き始めた。

――――ガララ――――

ドアの開く音と共に今度は飛が入ってきた。

「シャオ、よく言ったね。太助もよく言ってくれた。そう大事なのは努力だよ。

これからが始まりだよ。気づいてなくても少しづずつ少しずつ努力しているんだよ。

だからその努力をやめないでね。太助がシャオの真の主になるにはまず努力することが一番だよ。」

そう言うと飛はまたでていってしまった。

「飛・・・・・・」

太助は部屋にはいない飛の姿を映し出しドアの方を眺めていた。


「・・・太助様ぁ、もし私がいなくなったらどうします?」

シャオの唐突な質問に太助は深く考え答えを見出した。

「う〜ん、そういう事はあんまり考えたくないけど、シャオがいなかったら多分、元気がないんじゃないかな?

もしかしたらもっとひどいかもしれない。だからシャオにはいてほしいよ。」

そういうと太助はシャオをずっと見つめた。

「・・・ありがとうございます。太助様ぁ、飛ちゃんのいってた始まりってなんなんでしょうね?」

シャオは疑問に思ったことを太助に話した。

「なんなんだろうな・・・始まり・・・」

太助は深く考えた。

「だめだ〜わからない。」

「そうですか・・・今度、飛ちゃんに聞いてみましょうね。」

シャオは笑顔で太助に言った。


「シャオ・・・今日も月がきれいだよ。こうやって見ると全部が神秘的だなぁ」

しみじみと考えている太助にシャオが聞いた。

「海も雨も川も月も空も風も太陽も全部一緒ですよ。なくてはいけないもの。

それがあるから物事が進むんです。大切な事ですよね?」

シャオの感動的な言葉に太助は泣きながら言った。

「・・・あぁ、そうだな、俺たちだって自然の一部だもんな。だから一人一人が必要とされているんだろうな。

必要とされてない人なんていないだろうな・・・」

シャオも泣きながら

「太助様・・・・・・」

そう言うとベッドにいた太助にシャオが寄り添った。

太助とシャオは月を見ながら延々話していた。


人は必ず必要とされている。

それは大切な事。

また別れだって必ずあること。

それも大切。

先延ばしすることはできない。

将来なんてだれにもわからない。

シナリオどおりにいく人生なんてない。

アンバランスだからこそバランスが取れている。

聞ける音、見える物それを全て取り込んで進化していくこれからが始まり。

飛の言ったように。

すべては太助達の努力にかかっている。

これから歩む人生が・・・・・・・・・・・・・・




〜〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜


どうも雄志です。

雄志' ベストコレクション絶賛発売中です。

そろそろこのネタにも飽きてきました。(笑)

今回は結構ながめですね。

飛も初登場ってことでいろいろアレンジしましたね。

まぁ・・・音楽聴いてる人ならわかるかもしれませんが、歌詞からちょくちょく抜き取ることがあります。

ですからパくってんじゃねーよ。等の批判。

お受けしています。

どうぞ。よろしく。

今回のポイントですね・・・エジソンですかね?^^;_| ̄|○


え〜っと俺の小説はつまらないとおもいますが、これからも日々進歩。

取り組みを大事に日々精進していくのでよろしくお願いします。^^; 

結構今回は読み応えあるんじゃないかな?ってカンジに仕上げたはずです。

ですのでこれからの雄志's ストーリーこれからもどうぞよろしくお願いいたします。





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