言えない言葉
原作:桜野みねね先生 文:雄志


太助は心の中に言えない言葉があった。

それは「好き」という言葉。

いつものように学校で授業を受けてたときだった。

「う〜ん。シャオに「好き」っていってわかるだろうか?」

太助は授業中にもかかわらず深く考えていた。

「じゃあ〜七梨!これ答えてみろ。」

こういうときに限って先生に指されるのだ。

「は、はい!!え〜と・・・う〜ん」

「お、太助君〜何を考えていたのかな〜?」

翔子の悪魔の声が聞こえる。

「あ〜わかるよ!答えは・・・3×7+13÷7です!」

自信満々な顔で言い切ったが。

「ん?七梨どうした?これだぞ、これ!」

先生の指す方向には英文があった。

その瞬間クラス全員がわらった。

「おーい七梨〜おまえ数学と間違えてたのかよ〜。」

「うるせーたかし!」

「答えられます!え〜っと・・・That is very・・・・・・・・」

「ほ〜ら太助君〜わからないんだろう〜?」

翔子が馬鹿にした顔で言う。

「太助様、大丈夫ですか?私が答えましょうか?」

シャオの優しい言葉に太助はほほを赤らめて

「いや・・・いいよ。ありがとうシャオ」

「あ〜もういいや、じゃあ・・・山野辺!答えろ。」

「え?は、はい!え〜っと・・・」

翔子も答えをわからなかった。

「あれ〜人のこといっときながら自分も答えられないのかな〜?」

太助はここぞとばかりに翔子を攻め立てる。

「・・・すいません。わかりません。」

その言葉でまたクラスが沸いた。

「あっはっはっは〜なんだよ〜山野辺もかよ〜」

太助が大笑いしながらいった。

「うるせーおまえも答えられなかっただろ!」

――――――キーンコーンカーンコーン――――――

授業は翔子と太助のショートコント風に終わった。

『さぁ、かえろうぜ〜』

そんな声がちらほらと聞こえる。

「ふぅ・・・じゃあ帰ろうか、シャオ。」

「はい!太助様、今日はお買い物していっていいですか?」

「あぁ、いいよ。行こう。」

ラブラブムードで話してる中に翔子が入ってきた。

「おーいお二人さん。ラブラブな中わるいんだが、七梨は今日掃除だぜ。」

「え?今日おれ掃除だったっけ?」

「あぁ、掃除だよ、掃除!」

そういって翔子は笑いながら戻っていった。

「なんだったんだ?あいつは。悪いシャオ、今日掃除らしいからまっててくれるか?」

「はい、太助様のためなら。」

「ありがとう、シャオ。じゃあ俺、掃除いくから。また後でな!」

「は〜い」

シャオは笑顔でホールに向かった。

そして太助が掃除をしてる間に山野辺がシャオに吹き込んだ。

「シャオ、今日買い物にいったりして二人っきりになったら、

「一緒に寝ましょう。」って言え!きっと七梨のやつビックリするだろうな〜」

「翔子さん、それは太助様が喜んでくれますか?」

「う〜ん・・・そうだなぁ・・・七梨だったらよろこぶかもな〜」

翔子が笑いながらシャオに話した。

「そうなんですかぁ、わかりました。やってみます。ありがとうございました翔子さん!」

「ふぅ・・・やっとおわったよ。おーいシャオ〜終わったから帰ろうか〜。」

「はーい、わかりました。今行きま〜す。」

シャオが走ってこっちにくる。

二人はスーパーに向かった。

「シャオ、今日は何を作るんだ?」

「今日はチンジャオロースを作ろうとおもってます。」

「チンジャオロースか〜いいなぁ〜じゃあピーマンとか筍とか使うんだな?」

「そうですね!じゃあとりあえず野菜コーナーにいきましょう。」

裏の魚コーナーから翔子がのぞいていた。

「まだシャオのやついわないのかよ。」

シャオが何かを言いたそうな顔をしてるのを太助は一発でわかった。

「どうした?シャオ。何かほしいのがあるのか?」

「え・・・あの・・・太助様・・・今日、一緒に寝ましょう。」

「え?・・・シャオ・・・何いってるんだ?」

太助はいろんな妄想をしていた。

「あーだめだ。女の子の部屋に男が入るなんて!」

「え?どうしました?太助様。」

「あ、あぁ・・・う〜ん・・・どうしようかなぁ〜」

ウダウダ悩む太助に翔子が走ってきた。

「おい!七梨!!絶好のチャンスじゃないか、もしかしたらシャオともっと仲良くなるかもしれないぞ?」

「やっぱりシャオに吹き込んだのはおまえか・・・」

太助はあきれた顔で言った。

「でも、本当はシャオと一緒に居たいんだろ?だったら一緒に寝るくらいいいじゃないか?

もしかして七梨、おまえ・・・」

にやけながら翔子が言った。

「う!ち、違うよ!そんなこと考えるわけないだろ。清純な中学生だから!」

「本当か〜?まぁいいけどさ。思い切って言っちゃえよ!」

そういって翔子はいってしまった。

「なんなんだよ、あいつは毎回毎回・・・それよりどうしようかなぁ〜あ!

でも一緒に寝たらもしかしたら好きって言えるかもしれない!」

太助は決意した。

戻ったころにはシャオが半分買い物を済ませていた。

「あ、太助様。もうお買い物終わっちゃいますよ〜どこ行ってたんですかぁ?」

シャオはふてくされた顔で言った。

「あ、ごめんごめんちょっとね。」

「もう〜重いんですから〜」

「ごめん!そのカゴ俺が持つよ!」

「・・・あ、ありがとうございます。」

シャオは頬を赤らめて言った。

「なぁ、シャオ。」

「どうしました?太助様。」

「あのさぁ、今日一緒に寝よっか!」

「え?・・・あ、はい!」

いつの間にか買い物は終わっていた。

「じゃあシャオ帰ろう。」

太助は笑顔でシャオに話しかけた。

「はい!」

シャオの元気のいい返事が戻ってきた。

―――――ガチャ―――――

ドアが開いた音と共にルーアンの声が聞こえた。

「たー様遅いじゃないの〜ルーアン待ちくたびれちゃったわよ〜」

いつものようにベタベタくっついてくるルーアンに太助が

「シャオと買い物に言ってたんだよ。それに掃除があったから余計遅くなったんだよ。」

「ふ〜ん、まぁいいけど。」

ずいぶんとさめた様子でルーアンが言った。

那奈が来て太助に話しかけた。

「おい、太助。おまえもとうとう大人になるのか〜。あんまり早まるなよ!」

那奈は何かを勘違いしていた。

「那奈姉。山野辺に何いわれたか知らないけど普通に俺とシャオは何もしないぞ。」

「ふ〜ん、本当かなぁ?太助も男だからなぁ。」

笑いながら那奈はスキップしながら自分の部屋に戻った。

「今時スキップかよ・・・それより山野辺のやつ何いってるんだかなぁ」

それから50分。夜ご飯ができた。

『いただきまーす!』

みんなご飯を待ち遠しくしてたのか、早々に食べ始める。

「今日はチンジャオロースか〜シャオの料理はいつもおいしいなぁ」

那奈が感心しながら言った。

「そんなことおもうなら那奈姉がたまには作ったらどうだよ?」

「どんなものが出てきても文句言わないなら作ってやるわよ。」

「じゃあ、遠慮しときます。」

太助は那奈のご飯のまずさを身をもって知っていた。

『ごちそうさま〜』

「あぁ〜満腹、いっぱい食べたなぁ〜」

そういいながら太助は食器を台所に持っていった。

そのときだった。

 ―――――――ガッシャン―――――――  

太助の不注意で皿を割ってしまったのだ。

「あ!ごめんシャオ!今かたづけるからまってて!」

それを聞いててもシャオは片づけをはじめてしまった。

「シャオ、触っちゃだめだよ!危ないから。」

「大丈夫ですよ、太助様。あ、いたっ!」

言ったそばからシャオは指を切ってしまった。

「ほら〜言ったじゃんかよ〜」

そういって太助はシャオの指を吸ってばんそうこうを貼ってあげた。

シャオは頬を赤らめて言った。

「あ、ありがとうございます!」

「これからはあんまり割れたガラスとか触るなよ?」

「・・・はい!ごめんなさい。」

「わかったならいいんだよ。」

そしてその日の夜。

「太助様ぁ〜一緒に寝ましょう。」

「い、いいよ。」

太助は緊張して声が震えてた。

「じゃあ俺のほうの部屋に来いよ。

外から月が見えるからさ。」

「はい!わかりました。じゃあ私、自分の枕持ってきますのでまっててください。」

太助は緊張しつつも反面喜びがあった。

―――――ガララ――――― 

太助は驚くこともできなかった。

「太助様ぁ、枕もって来ました。」

太助はパジャマ姿のシャオにも驚き、自分の部屋でシャオと一緒に寝るということに緊張していた。

「じゃあ寝ようか?」

「はい!寝ましょう。」

「ほら、シャオ今日はきれいに月が見えるよ。」

太助はシャオとの会話をつなげるにはこれしかなかった。

「あ〜本当ですねぇ。きれいですぅ。」

「そうだなぁ、すごいきれいだ。」

太助は決心した。今言おう。と 

「シャオ!あ、あのさ・・・シャオってまだわからないことってある?」

思わず違うことを言ってしまった。

「え〜そうですねぇ、ありますよ。例えば〜人のことを好きになる感情とかですかね。

何が好きって事なのかがわからないんです。」

その言葉で太助は「好き」という言葉を言わないことにした。

「そうかぁ・・・シャオはまだわからないことがあるんだなぁ。俺が全部教えれればいいんだけどなぁ〜」

「全部はわからなくてもいいです。太助様と一緒にいられる時間があればいいんです。」

「・・・ありがとうなぁ、シャオ。」

太助はそれ以外におもったことがあった。

「そういえばルーアン達よくこなかったな。」

その答えは意外なものだった。

那奈がルーアンを止めていたのだ。

「じゃあ、そろそろ寝よっか!」

「はい!」

シャオの元気な声でその日は終わった。

――――チュンチュン―――― 

すずめの爽やかな鳴き声で二人はおきた。

「あ、おはようシャオ。」

「ふぇ?あ、おはようございます。」

「シャオ、今日どんな夢見た?」

「え〜っと、確か太助様がストーブで私が灯油だったような覚えがあるんですけど・・・」

太助は首を傾げていった。

「ん?灯油?ストーブ?」

「あ!そうだ!ストーブを点けるには灯油がいるって言う話だったんですよぉ。

灯油があればストーブは元気がつく。っていうお話でした。私が灯油で太助様を元気付けてました!」

「ふ〜ん、そうだったんだ。その夢おもしろかった?」

シャオはこれまでにない程の笑顔で

「はい!おもしろかったです!」と言った。

「そうか!よかったなシャオ!」

太助はシャオに言えない言葉があった。

それをいったらシャオを傷つけるとおもったから。

「好き」と言う言葉。

「今言わなくてもいいかなぁ。今度シャオがそれに気づいたときに話そう!」

と太助はシャオに対しての熱い思いがあった。

「さぁ!シャオ朝ごはん食べに行こう!」

「はい!太助様!」

いつもとかわらないけど確実に進んでいる年月。

シャオに言えるようになる日も確実近づいていく。

それまではストーブと灯油の関係でいよう。

元気ないときにはシャオに元気付けてもらって逆にシャオが元気のないときは俺が元気付けよう。

そうすれば成長の流れで気づくだろう。

太助はまだこのままでいたかったのだ。

言えない言葉。

それは永遠と言えない訳ではない。

人の思いが伝わればその言葉も自然と言えるようになるだろう。




〜〜あとがき〜〜


どうも雄志です。

久しぶりに書きましたね。

週末は書かない予定でしたんで。

この前溜めてた小説を工夫して管理人さんに送りました。

この小説結構ながいですね。

初めてなんじゃないでしょうか?

2日間もかかないと結構長くかけるようになりました。

このストーリーでは太助がシャオに「好き」っていいたいんだけど、

シャオが「好き」って感情がわからないから太助があえて言わないっていうカンジですね。

まぁ・・・小説書いていておもったことなんですが、まず楽しんで読んでもらえるてるのか?と。

もしつまらないとおもわれてるならその理由を教えてほしいんですよね。

それじゃあ今度の僕の新作。お楽しみに!





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