おかえり
原作:桜野みねね先生 文:雄志


ある日、たかしが太助に言った。

「なぁ・・・もし俺が転校するっていったらお前だったらどうする?」

「・・・う〜ん、それよりいきなりどうしたんだ?お前らしくもない。」

太助はたかしのいつもと違う雰囲気を感じ取っていたのだ。

「・・・おれさ・・・来週転校するんだ。」

「本当か?だったらシャオにきちんといっとけよ?お前シャオのことがすきなんだから。」

「いや、シャオちゃんには言わないでくれ!シャオちゃんに言ってもし・・・」

「もしなんだ?」

「もし・・・悲しんでくれなかったらさびしいじゃんかよ!」

たかしは珍しく大粒の涙を流し太助に話した。

「俺の父ちゃんが仕事で四国に行かなきゃいけないんだ。

それで俺もついていかなきゃいけないことになって・・・」

「そうか・・・よく話してくれたな。でもシャオがお前がいなくなって悲しまないってことは無いとおもうぞ?」

太助は必死にフォローするが、たかしの決意は固かった。

「いや、本当に言わなくていいんだ。・・・だから」

それからたかしは言葉が詰まって出なかった。

それから3日後ほぼクラスの半分がたかしの転校を知るようになったが、誰もシャオには言わなかった。

シャオはみんなを心配して離珠と話した。

「最近みんなげんきないね〜?離珠。どうしたんだろうね〜?」

みんな着々とたかしのお別れ会の用意がされてる中、シャオだけが参加してなかった。

してなかったというより、参加させてもらえなかったのだ。

太助はみんなに

「たかしの最後のお願いだ。シャオにはたかしがいなくなるまでいわないでくれ。」

たかしは引越しの準備のために早く帰っていた。

また、シャオも夕飯の準備のために早く帰っていた。

その日の夜。月がとても綺麗に輝いてる夜だった。

「主殿。どうしたのだ?たかし殿には2度と会えないわけではないだろう。

四国とやらはそんなに遠いのか?

人は出会いがあって別れがあるから強くなれるのだ。それが本当の試練かもしれないな・・・」

太助はキリュウに悔しさをぶつけながら

「・・・たかしがいるんだったら俺は弱くたっていい!!

だからたかしにはここにいてほしいんだ!!絶対いってほしくない。」

キリュウは太助の悔しさを理解したうえで言う

「主殿。何回も言わせるな。

たかし殿に二度と会えないわけではないだろう。それに人は強くならなければいけないんだ。

自分のために、周りのみんなに迷惑をかけないために、自分が弱くてもいい。

というのはただの戯言だ。言い訳にもならない。現実から目をそらしてはいけない。

それが必ず自分のためにあるのだから。」

そういい残しキリュウは去っていった。

次の日ますますクラスは盛り下がっていた。

一人を除いて・・・

「太助様ぁなんで皆さんあんなに元気が無いんですかぁ?」

 太助は考えた後に

「・・・ん?・・・今、みんな考え事をしてるんだよ」

「そうなんですかぁ。よかった〜。皆さん元気が無いから心配しました〜。」

純粋なシャオにはいえないたかしの心が分かった気がした。

たかしは悲しんでくれないのがいやなんじゃくてシャオが悲しむのがいやなのだと悟った。

ついにたかしが転校する前日、翔子がつい言ってしまった。

「まさかさ、たかしが転校するなんてな!まぁ、向こう言っても元気にやってくれよ!」

クラスが一瞬にして凍りついた。

いまやもうシャオの前でもおろかクラスの中でもその言葉は禁句になっていたのだ。

シャオはその一言ですべてを悟った。

「・・・やっぱり皆さん私に隠し事してらしたんですね。」

シャオはその勢いで教室を飛び出した。

しかしそれを追いかけるのは太助だった。

「シャオ!!」

どんなに大きな声で叫んでもまったく動じない。

キリュウがやってきて言う。

「シャオ殿はたかし殿の家にいかれたぞ?それでもとめるのか?」

「・・・たかしの家?まさかシャオたかしのお父さんと話すつもりじゃ・・・」

「それがいやならとめに行くがよい。

せっかく主殿と同じ考えを持ってるシャオ殿が勇気をだして行ってるというのに。」

キリュウは落ち着いた顔で言う。

「そうか・・・わかった!」

そういって教室に戻る太助

「みんな!!シャオはたかしのお父さんに話に行った。

だから・・・俺らもたかしの家に行ってたかしのお父さんに話してこよう。明らかに遅いかもしれない。

けどいいたいこといわないで行ってもらうのはみんな困るだろ?だから・・・」

太助はすべてを言い切った。

そしてクラスメイトはみんなたかしの家に向かった。

それから10分後「たかしのお父さん!!引越しやめてもらえませんか!!

もう遅いのは分かってます!!けど・・・」

太助は全員を代表していった。

「え?太助君?どしたんだい?みんなで。今シャオちゃんと話してたところだよ。みんなもあがりな。」

優しい感じで言い放った。

たかしのお父さんに話しを聞くこと30分。

「・・・・・・だから要するに仕事の話は後輩がいってくれるそうだからウチは引っ越さなくていいんだよ。」

太助はあきれた顔で「はぁ・・・そうだったんですか・・・たかし君今いますか?」


「あぁ上にいるとおもうよ。」

「ありがとうございました。」

太助はそういった瞬間すぐに上に行った。

クラス全員がこのあと太助が何をするかわかっていた。

――――――――バコン―――――― 

  太助はたかしを殴った。

太助は悔しさに満ちた顔で

「おい!!たかし!!」

「ん?・・・太助か・・・痛いじゃねぇか。」

「太助かじゃねぇよ!!お前引越し取りやめになったんだったら何でそういわないんだよ!!

みんな本気で心配してるんだぞ。シャオだってそのこと聞いたらすぐ飛んできたんだからな!」

「あぁ・・・悪かったな。みんなには明日言うつもりでさ。」

「みんなには明日でいいかもしれないけど、俺にはちゃんとはなしてくれよ!

転校するときだってお前俺に一番最初に相談してくれたじゃんかよ!」

「あぁ・・・わるかったな。一番最初にお前にいったからさ・・・俺話しづらくてさ・・・」

「とりあえずたかしがここに残ってくれるんだったらよかったよ。

早くみんなのとこ行こうぜ!!」

「・・・あぁ!!」

クラス全員の前に現れたたかし。

みんなもうたかし責めようとはしない。

しかし、シャオだけが泣いていたのだ。

「たかしさんが居てくれてよかったですぅ〜。たかしさんがいないとみんな元気ないから・・・。」

涙ぐんだシャオをみて太助はたかしにいった。

「結果的にシャオを悲しませたことになったんじゃないか?」

と笑いながらいった。

「悲しいんじゃないですぅ。うれしいんですぅ!」

「ごめんな。シャオちゃん。」

反省した顔でたかしはいった。

その日の夜も月が綺麗な夜だった。

キリュウが微笑みながら、

「どうだった?主殿。2度と会えないわけではなかっただろう?時には私を信じたらどうだ?」

「もしかして、キリュウが仕組んだのか?

まぁ・・・たかしが戻ってきてくれるんだったら何でもいいかなぁ〜」

次の日。

「おはよう!!」

たかしは元気よく挨拶をして学校に来た。

それからは平和にいつもどおりの日々がもどった。

爽やかな春の風が吹いた。

まるでたかしに「おかえり」を言うように。



〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜


どうも雄志です。

4作目となると結構アイディアがぼんぼん出てくるものですね。

え〜太助がたかしを殴っちゃいましたね^^;

怒ってるのではなくやしんでるところが今回のキーポイントですかね。

え〜一日に書く小説は大体2〜4作くらいになりました。

ボツネタが多いんですがね^^;

この小説の最初の題名は友との別れだったのですが、おかえりになりましたね^^;

感想、意見、こういう小説を書いてほしい。

等のリクエストありましたら掲示板によろしくお願いします。

いつまでも初心を忘れずにやりたいとおもいます。^^





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